今回は3回目、「担保権」です。
どの様なシチュエーションで主につかわれているかを示すため、次の省略を使用している場合がありますのでご注意ください。
”bz” – 主にビジネスの交渉・メール等で使われるもの
”ag” – 契約書や覚書で殆ど使用されているもの
担保権
海外とのやり取りや契約書に関係してきましたので、日本語でいう「担保権」は実は国毎にその内容が様々に異なっていると思います。従って対応関係があるかの様に日本語訳をしてしまうとか、逆に日本語から英語訳してしまうと誤解を招いてしまうことがあるかもしれません。
よって英米法でいう「担保権」についてどの様に言うかを説明します。
Mortgage – 抵当権
英米法では古くからの考えで、「目的物に関係する財産権」が譲渡・移転するといのが一般のようです。日本でいう「抵当権」とは微妙に内容が異なります。よって、譲渡・移転がある抵当権は「譲渡抵当権」と訳す事がしばしばあります。もっとも、実務上「抵当権」は「mortgage」と訳している事が多いです。
Pledge – 質権
日本の販社等での朝礼で営業マンが「今日のプレッジ」という事で、今日の営業ノルマを「誓いとか言質」として使っています。英米でも同じ使い方をする事が往々にあります。しかし、交渉や契約では、「pledge」は担保権の関係では「質権」となりますので気をつけてください。(“bz”, “ag”)
担保
抵当権や質権ではない担保権に対応する英語です。頻繁ではないですが、たまに出てくるものです。(主に, “ag”)
1)security interest – 「担保権」と訳する事が多いです。
2)collateral – 「担保目的物」「担保物件」
3)secured transaction – 「担保付取引」
4)security deposit – 「担保としての預託金」
5)earnest money – 「内金、手付金」
6)secured credit – 「担保付債権」
Lien – 「(先取特権的/留置権的)担保権」
この「lien」には悩む事が多い英語です。この「lien」は良く「先取特権」と日本語訳されますが、実は日本法での「先取特権」と内容が異なるので注意するのが良いでしょう。英文契約書を説明する時には、「(先取特権的)担保権」や「(留置権的)担保権」とした方が間違いないと思います。(“ag”)
但し、「vendor’s lien」は「売主先取特権」です。
その他「担保権」に関係する英語
1)hypothecate / hypothecation – 「担保に入れる」/「担保設定」
2)public auction – 「競売」
3)foreclosure – 「実行手続」:
一番使われる「foreclosure」は「foreclosure of mortgage」(抵当権実行)と思います。
4)free and clear of any liens or encumbrances:
この「encumbrances」は法律上では(財産上の)負担(抵当権や債務)という事になります。日本語訳は「いかなる担保権又は負担(抵当権/債務)がない状態」となります。実務上、「所有権の譲渡・移転」の際に「なんら負担もない完全な所有権の移転」の時の表現です。この言い方は英米との契約でも使われますので、この言い方以外では反論の余地が出てくる可能性がありますので気を付けてください。(“ag”)
Escrow – エスクロー(第三者預託)とは?
エスクローは「権利譲渡・譲受」に関係しているので、敢えてここ「担保権」で説明します。
エスクローとは、権利譲渡人から権利譲受人に対して引き渡されるべき一定の証書等(不動産権利書など)を一定の条件が満たされるまでの間、第三者に預託する事です。これは「引き渡し手続き」の公正さや確実性を図る目的で作られた「第三者預託制度」です。その時に使う英語は次の様なものがあります。
1)escrow agent – 第三者預託受託者
2)escrow account – 第三者預託口座
3)hold ~~ in escrow / hold ~~ in an escrow account:
~~をエスクロー/エスクロー口座に預ける
次回は「保証」に関係する英語について書こうと思います。